ドバイ不動産は高い利回りや将来のキャピタルゲインを狙える魅力的な市場ですが、リスクがないわけではありません。大切なのは、リスクを「避ける」のではなく「把握して管理する」ことです。本記事では、投資家が特に注意すべき代表的なリスクと、その回避方法をわかりやすくまとめました。これからドバイ不動産に挑戦する方のチェックリストとして活用してください。
デベロッパー・プロジェクトリスク
オフプラン(建設中)物件を購入する場合、最も重要なのがデベロッパー(開発会社)の信頼性です。過去の実績が乏しい会社や、資金繰りが不安定な会社によるプロジェクトでは、工期の大幅な遅延や完成品質の低下といったリスクが生じます。
リスク | 具体例 | 回避方法 |
---|---|---|
工期遅延 | 完成予定が1〜2年遅れる | RERA(ドバイ土地局)の登録確認、過去引渡し実績をチェック |
品質低下 | 完成後の仕上げが当初仕様より劣る | 完成済み物件を見学、第三者レビューを参照 |
資金リスク | デベロッパーの倒産や資金不足 | エスクロー口座制度での資金保護を確認 |
ドバイではRERAがエスクロー口座を義務化しており、購入者からの支払いは建設進捗に応じてデベロッパーに支払われます。これにより、購入資金が安全に保護される仕組みがあります。契約前に必ず対象プロジェクトがエスクロー登録済みかどうかを確認することが重要です。
市場サイクルと供給リスク
ドバイ不動産市場は過去20年の間に複数回の上昇と調整を繰り返してきました。好景気の波に乗ると価格は急騰しますが、同時に新規プロジェクトが大量に発表され、供給過剰が起きやすいのが特徴です。投資家にとっては「どの局面で参入するか」がリスク管理の大きなポイントとなります。
リスク | 具体例 | 回避方法 |
---|---|---|
供給過剰 | 新築物件が短期間に大量竣工 → 賃料下落 | DLDやCBRE等の最新データで竣工予定数を確認し、供給が集中するエリアを避ける |
価格調整 | 世界経済の停滞や金利上昇で価格が10〜20%下落 | 短期売却ではなく長期保有を前提とし、利回りでリスクヘッジ |
開発集中リスク | 一部のデベロッパーが同一エリアに多数供給 | 複数のエリア・デベロッパーに分散投資する |
リスクを抑えるためには、「過去の価格推移」だけでなく「今後数年間の竣工予定」を必ずチェックすることが大切です。短期的な価格の上下に一喜一憂せず、中長期で人口増加やインフラ整備に裏打ちされた需要を見極めましょう。
賃貸運用リスク
購入後のキャッシュフローは、賃貸運用の品質に大きく左右されます。契約・管理・許可のいずれかでつまずくと、空室損や法的トラブルにつながりやすい点に注意が必要です。
リスク | 具体例 | 回避方法 |
---|---|---|
短期貸しの許可 | DED/Holiday Homesの登録不足で罰金リスク | ホリデーホーム運用の可否を物件/コミュニティ規約で事前確認し、必要な許可を取得 |
テナント審査 | 未払い・破損・早期解約 | 収入証明/雇用証明の確認、保証金・ポストデート小切手、プロパティマネージャーの厳格な審査 |
契約・更新 | Ejari未登録で紛争時に不利 | 全賃貸契約をEjari登録、更新時はRERAインデックスに基づく賃料設定 |
空室・シーズナリティ | 夏季の稼働低下で収入がブレる | 月次ではなく年次利回りで評価、ハイシーズン料金の最適化、複数チャネルで募集 |
運用委託する場合は、手数料・清掃費・写真/運用広告費・応急修繕費まで含めたネット利回りで比較しましょう。短期貸しは稼働率次第で大きく変動するため、保守的な前提でのシミュレーションが必須です。
コスト・利回り計算の落とし穴
粗い試算だと「思っていた利回りと違う」になりがちです。購入時・保有時・売却時のコストを網羅し、ストレステストをかけましょう。
- 購入時: DLD登記費、手数料、発行手数料、家具家電費、初期修繕
- 保有時: サービスチャージ(SC)、チラー(冷房代・中央冷房の基本料)、固定資産的な維持費、保険、管理委託料、空室期間
- 運用時: 短期貸し許可費、清掃費、写真/広告、プラットフォーム手数料、現地税
- 売却時: エージェントコミッション、ノーオブジェクション証明(NOC)、エグジット費用
ストレステスト前提 | 推奨レンジ |
---|---|
空室率 | 年10〜20%(短期貸しは季節変動考慮) |
賃料下振れ | 相場比 −5〜10%シナリオ |
SC上昇 | 年+5〜10% |
突発修繕 | 年0.5〜1%(価格に対して) |
ネット利回り=(年間賃料 − 年間コスト) ÷ 総投資額で評価します。総投資額には購入関連費と家具費も含めるのがポイントです。
金利・為替リスク
UAEディルハム(AED)は米ドル(USD)にペッグしているため、金利・為替の影響は主に米国の金融情勢を通じて現れます。円建て投資家は為替タイミングで最終リターンが大きくブレる点に注意が必要です。
- 為替: 入金・売却・賃料送金のタイミングを分散し、為替の平準化を図る
- 金利: モーゲージ利用時は固定/変動のミックスや繰上返済余地を確保
- 資金管理: 家賃の現地留保と必要額のみ円転する運用で為替影響を緩和
法務・税務リスク
契約書の読み込み不足や最新ルール未把握はトラブルの元です。現地ルールと日本側の税務を両にらみで確認しましょう。
- 契約・規約: SPA、アメニティ・短期貸しのコミュニティ規約、デベロッパー保証(DLP)
- 登録・許可: RERA/Ejari、ホリデーホーム許可、DLD手続き
- 税務: UAEの個人所得税は原則ゼロ。一方、日本の居住区分・国外財産の扱い・租税条約を事前確認
- 所有形態: 個人/法人(フリーゾーン等)の比較、相続・贈与の設計
重要書類はクラウド管理し、更新期限(Ejari/許可/保険)をカレンダーでリマインド化。売却時はNOCや手数料の条件を早めに確認しておくと、取引がスムーズです。
まとめ:3つの原則
- 分散する: エリア・デベロッパー・運用形態(短期/長期)を分ける
- 実務で固める: 許可・契約・管理・データ(供給/賃料)をルール化
- 保守的に試算する: ストレステストを前提に、ネット利回りで意思決定
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