ドバイ不動産価格は、近年世界的にも注目される上昇を続けてきました。しかし急な高騰のあとは調整期のリスクも見えてきており、投資家にとっては「過去を知り、現在を読み、未来を予測する力」がますます重要になっています。本記事では、最新データをもとにドバイ不動産の過去の価格推移を整理し、2025年以降の見通しを複数のシナリオから考察します。
過去10年の価格推移(2014〜2024年)
ValuStrat の VPI(ValuStrat Price Index)データによると、2014年〜2024年の間、ドバイのアパートメントおよびヴィラの資本価値(Capital Values)は大きく変動してきました。特に 2021〜2024 年期には回復と成長のフェーズが加速し、ヴィラの価格上昇率がアパートを上回る傾向が明確です。
年 | アパート年率上昇率 | ヴィラ年率上昇率 | 注目セグメント/動き |
---|---|---|---|
2014–2016 | 横這い〜わずか上昇 | 比較的安定/緩やかな上昇 | 供給過多のエリアで価格停滞、ヴィラは限定需要 |
2017–2019 | 成長期入り、都市中心部のアパートが加速 | ヴィラ市場も一部で人気上昇 | ラグジュアリー・ブランド物件の注目が増加 |
2020–2021 | 一時停滞(パンデミック影響)→回復開始 | ヴィラ価格の優位性が明確化 | 外国人投資家の需要増加、税制・ビザ緩和が追い風 |
2022–2024 | 急上昇:年 +20〜30%クラスの上昇も複数報告 | さらに強めの上昇、特に高エンドとヴィラがリード | オフプラン需要の増、国際投資家の流入 |
また、2025年初頭のデータでは中間層アパート価格が前年同月比で +5〜8% の上昇、ヴィラが +4〜7% の上昇を示しており、上昇速度は以前より「緩やかだが安定」へのシフトが見られます。過度な期待よりも堅実さが重視され始めているフェーズです。
2025年の現状整理
2025年時点のドバイ不動産市場は、過去数年の急騰から「安定成長フェーズ」へ移行しつつあります。最新のCBREやValuStratのデータでは、アパート価格が前年同期比 +5〜8%、ヴィラ価格が +4〜7%と引き続きプラス成長を記録。ただし2022〜2023年の二桁上昇と比べると、上昇率は緩やかになっています。
特に顕著なのはセグメントごとの二極化です。ラグジュアリー・ブランド物件は海外投資家や富裕層の需要で依然強い一方、中級アパートメント市場は供給増加の影響を受けやすく、利回り重視で選別される傾向があります。
また、取引件数の約6割がオフプラン(建設中)物件となっており、将来の大量竣工による賃料下押しリスクが指摘されています。フィッチのレポートでは、2025〜2026年にかけて最大で15%程度の価格調整が起こる可能性があるとされています。
将来予測:3つのシナリオ
強気シナリオ
人口増加、ビザ制度の柔軟化、金利低下が進めば、価格は再び二桁上昇も視野に入ります。特に高級セグメントやブランドレジデンスは、国際的な需要を背景に供給不足が続く可能性があります。
ベースシナリオ
価格はおおむね横ばい〜年率数%の上昇で推移。中級アパートは供給圧力で利回り重視にシフトする一方、ヴィラやウォーターフロント物件は安定した需要に支えられる見込みです。最も現実的なシナリオといえます。
弱気シナリオ
世界経済の減速や金利高止まり、供給過剰が重なれば、最大15%程度の調整が起こる可能性があります。特にオフプラン物件が集中するエリアでは、完成後の賃料下落と価格調整のリスクが高まります。
いずれのシナリオにおいても、投資家に求められるのは「利回りとキャピタルゲインの両面を見極める目」です。データを継続的にチェックし、購入前に必ず竣工予定と需要バランスを確認することがリスクを抑える鍵となります。
投資家への示唆
ドバイ不動産は、急騰と調整を繰り返すダイナミックな市場です。その中で成功する投資家は、価格推移だけでなく需要・供給・制度の三要素を同時に把握しています。
- 利回りと出口戦略の両立: 賃貸需要が安定するエリアを選びつつ、将来の売却タイミングを意識する。
- セグメント別戦略: ラグジュアリーは長期保有・ブランド力重視、中級アパートは利回り重視で選別。
- データに基づく判断: DLD(ドバイ土地局)のMo’asher指数やValuStrat VPIなど、公式データで市況を確認する習慣を持つ。
- リスク分散: エリア・デベロッパー・投資タイミングを分散することで市場変動に備える。
まとめ
過去10年のドバイ不動産は、バブルと調整を経て力強い成長を遂げてきました。2025年の市場は過去の急騰から落ち着きを取り戻しつつあり、今後は緩やかな上昇とセグメント間の選別が進むと見られます。ネガティブ要素として供給過剰や世界経済の不透明さがある一方、人口増加・ビザ制度の拡充・国際投資家の継続的な流入といった強力な追い風も存在します。
結論として、短期的な上下動は避けられないものの、中長期で見ればドバイ不動産は依然として高い魅力を持つ市場です。投資家はデータを注視しながら、リスク管理と戦略的なエリア選びを通じて、持続的なリターンを狙っていくことができるでしょう。
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